広島県呉市「石崎動物病院」

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普段から口腔検査は大切です! [院長ブログ]

今回は「もっと、早めに対応したい口腔内疾患」です。

1)乳歯による潰瘍形成 ポメラニアン ♀ 8か月
「口のあたりを触ると痛がる、歯がぐらついているのでは?」の主訴で来院されました。注意深く観察すると右の乳歯である上顎切歯が残存し、右の唇内側に食い込んで、潰瘍を形成していることが分かりました。

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右の側方に尖った犬歯が側方に飛び出しているのが見られました。
処置は、乳歯を抜歯して終わりですが、大きな潰瘍ができるまで気づけなかったことが残念です。

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2) 下顎に出来た歯肉の損傷 日本猫 ♂ 13歳
原因は、上顎の臼歯が下あごの歯肉を傷つけて損傷を発生していました。

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処置は、上顎の歯を抜いて対応しました。麻酔の翌日からは、バクバク食事ができるようになりました。
もっと、早く処置すれば、著しい体重減少にいたらず、痛みを味うこともなかったと思うと残念です。

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3) 眼窩下膿瘍 Dax ♀ 12歳
同居の犬に咬まれて怪我をしたと思い来院されました。実はよくあることですが、上顎の歯の根尖部が感染を起し皮膚が破れて排膿してしまった状態です。

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口腔内は著しい歯石の堆積が見られます。

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内側部にも大量の歯石です。

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処置は、根尖部の感染歯を抜歯して、洗浄して終わります。今回は、犬歯を抜歯したため粘膜フラップを作成して対応しました。もっと、早めに歯石を除去し、歯ブラシの習慣ができればこんなことにならなかったと思うと残念です。

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3例とも、飼い主さんが症状を認めてからの来院です。普段から口の中を観察する習慣が持てれば、速やかな対応が出来たと思います。是非とも自宅で出来る口腔検査を学んでいただきたいと思います。

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猫の眼窩下腫瘍 [院長ブログ]

●トラ 日本猫 約15歳 ♀
主訴は「口内炎が悪化して食事ができない、そしてヨダレが出る」でした。お話によると9か月前から、地元の先生に定期的に口内炎の注射を受けていたそうです。確かに口からヨダレが出ていますが、同時に右目がやや腫れた感じがあります。痛がって口を開けさせませんが、機嫌をとりながら一瞬開けた検査では、激しい痛みを伴う口内炎とは思えません、検査の為に麻酔をかけさせていただく事にしました。

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●口腔内病変
状態を整えて麻酔下で口腔検査を行いました。軽度の口内炎は伴っていますが、この程度では食欲がなくなることはありません。問題は左側の歯肉に見られる怪しい浸潤病変でした。

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●治療
あえて今回は検査用の組織は提出せず、食道カテーテルを装着して終了しました。診断は「左眼窩下部における腫瘍の発生であろう」としました。その腫瘍の圧迫により、失明と左の眼球突出が生じたものと断定しました。

今後どれだけ頑張れるか分かりませんが、抗癌剤などは使用せずに、振動療法とサプリメントで免疫を上げて生活の質を高めながら、出来るだけ快適に余命を過ごしていただけるように一緒に頑張る所存です。

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猫の膿瘍と抗生剤について [院長ブログ]

●かよちゃん 猫 6歳 ♂
「足を引きずる」主訴で来院されました。脱水が著しく、左の前肢が大きく腫れて、化膿していることが直ぐに分かりました。点滴を2日間行い、状態を改善して切開、排膿を行う計画をたてました。

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●膿瘍
膿瘍とは、細菌感染を生じ、袋状に膿が溜まる状態を言います。猫の喧嘩には膿瘍は付き物ですが、久しぶりの激しいものでした。

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洗浄処置を進めると筋肉の一部が溶けているのが分かりました。筋肉欠損による機能障害は残らないと思いますが、その激しかった喧嘩の状況が想像されます。神経に影響がなければよいのですが・・・・?

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●処置後
壊死した皮膚を除去し、排液チューブを装着しました。
術後の抗生物質による処置は、当院では通常使用しません。今回のケースの様に著しい膿瘍でも、排液ルートが確実に確保されれば、膿は重力に従って排出されます。理油は、以下に述べますが、全身感染でないかぎり抗生剤の使用は控えるべきだと考えているからです。

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●抗生剤の副作用
日本は世界で一番抗生剤の使用量(人)が多く、安易に抗生剤が繁用されています、しかし、副作用はそれはそれは恐ろしいものが記載されていのをご存知でしょうか?ちなみに、古典的なセフェム系の添付文書には、@ショック、アナフィラキシーA急性腎不全B溶血性貧血C偽膜性大腸炎D中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群E間質性肺炎などが挙げられています。

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我々は、本当に必要な時に、本当に必要な種類の抗生剤を短期間(3〜7日)のみ使用しなければなりません。また、薬をもらわないと不安がる飼い主さんは、上記の副作用を十分に認識し、耐性菌(漫然と使用することにより抗生剤が効かなくなる菌が出現すること)が出現すること。つまり、バンコマイシンしか効かない耐性ブドウ球菌(MRSA)、さらには最近ではバンコマイシンも効かないバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が出現しています。我々の未来を見据えて安易に使用することは避けて欲しいと切に思います。


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●その後
切開処置後10日目の写真です。しっかりと足を着けるようになり、食欲も旺盛です。来週には帰れるかな?

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