7月のセミナー案内 [大和臨床研究会]
随分と暑い日が続きます。皆様に於かれましてはお変わりありませんか?
さて、前回と同じく麻酔セミナーですが、外気と同じく熱い気持ちで臨み、実りある受講にしたと思います。万障繰り合わせてご参加ください。
日 時 7月27日(日曜日)
場 所 ビューボート呉 4階
時 間 午後 10時〜15時
講 師 佐野先生(酪農学園大学)
参加費 無料
テーマ 生体モニターをいかに使いこなすか?
参加資格
今回はオープンセミナーで無料になっていますので、会員外の先生も遠慮なくどうぞ!多くの参加が予想されますので、定員になり次第締め切りさせていただきます。
セミナーはアットホームな雰囲気で楽しみながらご参加いただけます。会員資格は、一度でも参加されれば以降会員資格となりご案内をお送りします。年会費は不要ですので、お気軽にご連絡ください。皆で楽しく勉強しましょう!
大和臨床研究会事務局 0823-21-4175 あるいは「お問い合わせ」から
猫の難治性皮膚疾患(不良肉芽) [News]
●ガラ 三毛猫 ♀ 年齢不詳(約2歳)
●咬傷
初発は、咬傷による化膿から始まりました。いつも通り切開、洗浄、膿の排出処置を行いました。
●切開、洗浄
皮膚切開を行うと、その化膿は広範囲に深い部分へ及んでいました。
●排液装置
●1か月後
治癒不良。基礎疾患が存在する可能性を考慮し、副腎皮質機能亢進症、細菌感染、アレルギーの除外検査を行いました。
●2か月後
通常、湿潤療法を行うと肉芽(赤い部分)増殖と皮膚の再生が進み傷が治癒しますが、今回は、その肉芽がいくら待っても再生が弱く、上皮が再生されず治癒が起こりません。
●6か月後
上記の検査をクリアーして、湿潤療法を続けて何とかこぎ着けましたが、ここからがなかなか治癒に向かいませんでした。
●完治
治療のアプローチを変更し(皮膚科医の助言)完治に至ることができました。スタッフ一同、感慨にむせぶ瞬間です。
●めでたく退院
長かった闘病生活を終え、晴れて飼い主さんの胸へと言いたいところですが、ほとんど病院の猫と言って良いほどに馴染んでいたので感動の退院にならなかったのは飼い主さん共々残念でありました。
ガラちゃん元気でね〜。もう喧嘩しないでね。
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犬の慢性鼻汁 [News]
●きなこ 14歳 ♀ ボーダーコリー
「数か月前から鼻から膿が出る」主訴でした。
●持続的な片側鼻汁
片側からの膿汁排出の原因は、異物、腫瘍、歯根膿瘍などが考えられますが、まずは、麻酔をかけて歯の検査をさせていただくことにしました。ちなみに、鼻汁塗抹検査は、白血球が捕獲していました。つまり細菌感染が存在することが分かりました。
●第四前臼歯側方ポケット
探査用のプローブによる検査を進めました。一見正常ですが、第4前臼歯口蓋側に微かな膿を見つけ、プローブを挿入すると、正常では3mm程度のスペースが3pの深さまで入り込む異常を見つけました。歯の状態を目視確認するために歯肉切開を行いました。
●歯肉切開、抜歯
第4前臼歯は3本の根を持ちますが、口蓋側の根はレントゲンの通り、既に溶解吸収され消失していました。そして、抜歯を行うとその奥には、大量のクリーム状の積載物(膿)の塊が充満し、大きな穴が開いていました。
●排膿、洗浄
大きな穴から出た大量の積載物を優しく掻き出し、そして、洗浄を繰り返しました。大きな穴は、鼻道を貫通し広範囲に口蓋の骨を侵食していました。
●フラップ形成
その穴を放置すると食べ物が鼻道に入ってしまうため、口腔粘膜を利用して穴をふさぐ計画を立てました。
●縫合
粘膜のフラップにより無事に穴が覆われました。
全ての歯の再チェック、歯石除去、歯肉腫瘤の切除、ポリッシングを行い、全行程(約4時間)が終了しました。
*全行程の中には、術前の胸部、四肢のレントゲン撮影、腹部超音波検査が含まれます。
老齢でしたので、流石に麻酔の覚醒には時間を要しましたが、翌日からは食欲は正常に復しました。
長時間に渡りご苦労様でした。
●教訓
歯石の蓄積が僅かであっても、今回の様な事態が発生することがあります。定期的な歯石除去の際に、一本一本調べて記録に残しておくことが大切です。