猫の骨髄炎 [News]
●17歳 猫 ♀ ニャンコ
「顎に傷があり2ヵ月前から口の周りを気にする!?」主訴で来院されました。歯からの悪影響がもっとも考えられ、麻酔をかけてレントゲンなどの検査を行うことにしました。なにせ栄養状態の悪い、慢性腎不全持ちの17歳ですから、気合を十分に入れてから準備に臨みました。
●レントゲン撮影
骨髄の異常、骨膜の反応が見られます。この結果より、積極的にアプローチすることを決断しました。
●下顎の精査
左側の下顎の歪な表面と瘻管が見つかりました。慢性的な化膿巣が予想されます。
●骨融解
皮膚切開を勧めると、骨の融解箇所と融解の為の骨折が見つかりました。また、骨髄内の膿の存在が認められました。
●骨折片
融解により部分骨折した顎の骨を摘出しました。よほど痛かったことが想像され「顎を気にする」主訴は十分に頷けます。同時に細菌の培養を行いました。
●排液チューブの装着
顎に開いた数カ所の穴周辺をドリルで削り、洗浄を繰り返しました。最後に髄腔にチューブを挿入し閉鎖しました。
●術後及び感想
10日間の入院後、退院の運びとなりました。しばらくは、食道に装着したチューブで栄養補給を行います。
そもそも、骨髄炎までに至った歴史は、歯石から始まる歯肉炎がきっかけと思言われます、普段から提唱しています。「定期的な口腔内管理」の大切さを物語った例でした。
骨髄炎の原因菌は、培養の結果Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)でした。抗生剤を変更して治療を継続しました。
●1ヶ月後
食道チューブもカラーも外れ、痛みもなし。口からしっかりと食べれるようになりました。慢性腎不全がありますが、これより20歳を目標に頑張りましょう!
犬の胃内異物 [News]
●ハナ Gシェパード 8歳 ♀
他院にて、肢のレントゲンを撮影した際に胃の中の異物が見つかりました。そして「様子をみたら便からでるかもしれない」と言われ、待機していたのですが、いつまで立っても出ないので内視鏡による摘出を希望して来院されました。
●レントゲン撮影
明らかに胃の中に菱形様の石を認めました。
先ずは、催吐剤(嘔吐を即す薬剤)により摘出を試みましたが叶わず。次に、内視鏡での摘出を計画しました。そして、困難であれば胃切開を行う準備と説明を行いました。
●消化管内視鏡
菱形の石ですので、取り出す際には、幅の短い辺を食道に対して直角に位置するように把持する計画を立てました。
バスケット鉗子の中に石を縦に落とし込むようにして捕獲、把持し、ゆっくりと優しく、胃の入り口である噴門部を通過させ、ゆっくりと食道を傷つけないように配慮しながら取り出しました。
●摘出した石
長期間胃の中に停留して居たのに係わらず、胃粘膜の損傷は見られませんでした。幸か不幸かそれが発見を遅らせた理由だと思われます。流石の胃酸でも石を溶かすことはできませんから、嘔吐を促しても石が出ない以上摘出を行うしかなく、内視鏡で摘出できたことが良かったです。
また、東洋医学的観点からは、術後の大きな瘢痕による気の流れの阻害が防げたことは、さらに良かったと言えます。
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猫の皮膚糸状菌症 [News]
●皮膚糸状菌症(皮膚真菌症)
皮膚糸状菌症は、カビが原因で発症します、人間の水虫と思っていただければ良いです。症状は、脱毛と痂皮です。
この皮膚糸状菌症は、カビの直接的な接触により感染し、また、抵抗力が弱い若齢猫や精神的・身体的なストレスの多い環境下で感染しやすくなります。つまり、皮膚のバリア機能を正常に保ち、ストレスの無い環境を作り出すことが大切になります。
●治療
基本治療法は、感染している患部周辺の毛刈りを行って抗真菌剤を塗布します。時に抗真菌シャンプーで全身を洗ったり、あるいは、抗真菌剤の内服薬を服用したりしますが、副作用の観点からできる限り全身投与法は避けるようにします。