食物アレルギーによる犬の上強膜炎 [News]
●パグ ♀ 小梅 6歳
「眼が赤いのが気になる」と来院されました。
眼を観察すると右外眼角(目じり)に結膜の充血とその下の強膜の腫脹が観察されました。
●反対側の正常眼
反対の正常な左目と比較するとよく分かります。
診断は、各種検査後に自己免疫疾患と仮診断し、短期ステロイドを処方すると効果が見られました、ステロイドの毒性をお話して、優しい治療(漢方、サプリ、振動)に変更することにしました。
*自己免疫疾患とは?
生体防御機構の自分の免疫が自己の組織を突然に敵とみなして攻撃してしまう状態です。(免疫の暴走化)
●3週間後
充血が8割治まり、強膜の腫脹はありません。
副作用を考慮すると治療に時間を要しますが、ご理解いただきながらやんわりと優しく進めていく予定です。
●原因とその後の治療
この目の炎症は、実は食物アレルギーでした。西洋医学の欠点は、症状を抑えることを目的としています、故に薬を中止すると再発してしまい、根本原因を追究するに至りません。また、時には症状を抑制する薬の副作用で別の炎症症状が発生してしまう危険もあります。今回は、量子診断により食物アレルギーと仮診断し、2、3の蛋白質を試験したところ処方食1種類がヒットし、その食事を戴くことで炎症症状がおさまり、点眼も必要が無くなりました。
普段から口腔検査は大切です! [News]
今回は「もっと、早めに対応したい口腔内疾患」です。
1)乳歯による潰瘍形成 ポメラニアン ♀ 8か月
「口のあたりを触ると痛がる、歯がぐらついているのでは?」の主訴で来院されました。注意深く観察すると右の乳歯である上顎切歯が残存し、右の唇内側に食い込んで、潰瘍を形成していることが分かりました。
右の側方に尖った犬歯が側方に飛び出しているのが見られました。
処置は、乳歯を抜歯して終わりですが、大きな潰瘍ができるまで気づけなかったことが残念です。
2) 下顎に出来た歯肉の損傷 日本猫 ♂ 13歳
原因は、上顎の臼歯が下あごの歯肉を傷つけて損傷を発生していました。
処置は、上顎の歯を抜いて対応しました。麻酔の翌日からは、バクバク食事ができるようになりました。
もっと、早く処置すれば、著しい体重減少にいたらず、痛みを味うこともなかったと思うと残念です。
3) 眼窩下膿瘍 Dax ♀ 12歳
同居の犬に咬まれて怪我をしたと思い来院されました。実はよくあることですが、上顎の歯の根尖部が感染を起し皮膚が破れて排膿してしまった状態です。
口腔内は著しい歯石の堆積が見られます。
内側部にも大量の歯石です。
処置は、根尖部の感染歯を抜歯して、洗浄して終わります。今回は、犬歯を抜歯したため粘膜フラップを作成して対応しました。もっと、早めに歯石を除去し、歯ブラシの習慣ができればこんなことにならなかったと思うと残念です。
3例とも、飼い主さんが症状を認めてからの来院です。普段から口の中を観察する習慣が持てれば、速やかな対応が出来たと思います。是非とも自宅で出来る口腔検査を学んでいただきたいと思います。
猫の眼窩下腫瘍 [News]
●トラ 日本猫 約15歳 ♀
主訴は「口内炎が悪化して食事ができない、そしてヨダレが出る」でした。お話によると9か月前から、地元の先生に定期的に口内炎の注射を受けていたそうです。確かに口からヨダレが出ていますが、同時に右目がやや腫れた感じがあります。痛がって口を開けさせませんが、機嫌をとりながら一瞬開けた検査では、激しい痛みを伴う口内炎とは思えません、検査の為に麻酔をかけさせていただく事にしました。
●口腔内病変
状態を整えて麻酔下で口腔検査を行いました。軽度の口内炎は伴っていますが、この程度では食欲がなくなることはありません。問題は左側の歯肉に見られる怪しい浸潤病変でした。
●治療
あえて今回は検査用の組織は提出せず、食道カテーテルを装着して終了しました。診断は「左眼窩下部における腫瘍の発生であろう」としました。その腫瘍の圧迫により、失明と左の眼球突出が生じたものと断定しました。
今後どれだけ頑張れるか分かりませんが、抗癌剤などは使用せずに、振動療法とサプリメントで免疫を上げて生活の質を高めながら、出来るだけ快適に余命を過ごしていただけるように一緒に頑張る所存です。